ワーキングホリデー制度改革案の行方は?

2016/12/02

オーストラリア国会議事堂

現在ワーキングホリデーで既にオーストラリアにいる人はもちろん、これからワーホリでオーストラリアに行こうと検討中の人たちも注目している新制度(案)に関する現状をお伝えしたいと思います。

その前に、この件についてよく知らない人のために、ここで1度おさらいをします。

 

2015年5月 バックパッカー税導入計画の発表

2015年5月、税収を増やす目的でワーキングホリデーの所得税率を上げる案がオーストラリア政府から発表され、新税率の導入は2016年7月1日を予定していました。

オーストラリアの所得税率には居住者用と非居住者用の2種類があり、これまでワーキングホリデービザのもとでオーストラリアで働く人たちは、多くのケースでオーストラリア人と同様の居住者用税率が適用されてきました。それがこの時に発表された計画によると、ワーキングホリデーの人たちは、2016年7月以降、自動的に非居住者扱いとなるというものでした。

この変更案で特にインパクトが大きかったのは、課税所得の最初の1ドルから32.5%の税率が適用される点で、この部分を特に強調して、Backpacker Tax(バックパッカー税)と呼ばれるようになりました。

居住者 所得税率

課税所得 税率
$0 ~ $18,200  0%
$18,201 ~ $37,000 19%
$37,001 ~ $80,000 32.5%
$80,001 ~ $180,000 37%
$180,001 ~ 45%

 

非居住者 所得税率

課税所得 税率
$0 ~ $80,000 32.5%
$80,001 ~ $180,000 37%
$180,001 ~ 45%

 

2016年5月 バックパッカー税導入延期の発表

バックパッカー税導入を間近に控えていた2016年5月、オーストラリア政府は新税率導入を6ヵ月遅らせ、2017年1月からとする計画を発表をしました。

この背景には、バックパッカー税導入に対する農業界、観光業界からの反発があった訳ですが、特に2016年7月2日の総選挙を目前に控えたターンブル政権が、マイナス要因となり得るこの案件を先送りにすることで、選挙戦を少しでも優位に進めたいとの思惑があったようです。

結局のところ7月の選挙では、連立与党(自由党&国民党)が下院での議席を90から76と減らしたものの、ギリギリ過半数を維持し、第二次ターンブル政権が発足しました。

 

2016年9月 バックパッカー税の修正を含むワーキングホリデー制度改革案の発表

2016年9月27日、オーストラリア政府より、バックパッカー税に関する変更を含むワーキングホリデー制度改革案についての発表がありました。

発表当初から反発の大きかったワーキングホリデーの所得税率変更の計画は以下のように見直され、課税所得$37,000までの税率は19%とする案に変更されました。

ワーキングホリデー 所得税率(案)

課税所得 税率
$0 ~ $37,000 19%
$37,001 ~ $80,000 32.5%
$80,001 ~ $180,000 37%
$180,001 ~ 45%

 

この修正に伴う税収減をカバーするための新たな制度変更と、ワーキングホリデーの減少を防ぐ目的の制度変更をひとまとめにした議案が、Working Holiday Maker Reform Package として議会に提出されました。所得税率以外の主な変更点は以下の通りです。

  • ワーキングホリデー・メーカーが帰国時に受け取ることのできる年金(スーパーアニュエーション)に対しての税率を95%に引き上げ
  • ワーキングホリデー・メーカーを不当な雇用条件から保護する取り決め(税務局から厚生労働オンブズマンへの情報開示などを含む)
  • ワーキングホリデー・メーカー雇用主を登録制に
  • オーストラリア出国税を$55から$60に引き上げ(ワーホリに限らず)
  • ワーキングホリデービザ申請料を$440から$390に値下げ
  • 異なる地域に複数の仕事場を持つ雇用主のもとでは、最初の6ヵ月と異なる地域であれば同じ雇用主のもとでさらに6ヵ月間働くことが可能となる
  • ワーキングホリデービザの年齢の上限を30歳から35歳に引き上げ

 

2016年11月現在 野党の反発

9月に発表された議案は、10月中には連立与党が過半数を占める下院を通過したのですが、上院で承認されるのは難しいと見られています。

実は連立与党は上院では76議席中30議席しか持っていません。上院で過半数の賛成を得るためには野党の協力が不可欠ですが、現在野党第一党の労働党(26議席)をはじめ、緑の党(9議席)、その他(1議席)が新税率に反対を表明しており、今日のニュース(Hanson backs reduced backpacker tax rate - SBS)では、ワン・ネーション党(4議席)も反対の立場のようです。

新税率に反対する野党が提示している対案は、ワーキングホリデーの所得税率を一律10.5%にするというものです。ただし、それにより不足する税収をどう補てんするかははっきりしていません。

バーナビー・ジョイス副首相によると、このまま野党が政府案に反対し続け、議案が否決されるようなことになれば、当初案が2017年1月に発行し、ワーキングホリデーの税率は32.5%になってしまうとのことです。

年内に残された議会の開期はあと2週間ほどしかありませんが、ぜひ与野党の合意にこぎつけてもらいたいです。

この件に関して進展がありましたら、またお知らせさせていただきたいと思います。

 

2016年12月2日追記

バックパッカー税は15%で決着がつきました

その後、与党が税率を19%から15%に引き下げる妥協案を示したものの、野党を説得することができず、意見が合わないまま開期最終日まで議論がもつれましたが、最終的には緑の党(9議席)の提示した要求を飲む形で15%案が上院を通過しました。また、年金(スーパーアニュエーション)に対しての税率は、当初案の95%から65%に引き下げられることになりました。タイムリミットぎりぎりで決着がつき、最悪の事態は回避することができました。

ところで、これからワーキングホリデーを検討している人や、すでにワーキングホリデービザを取得している人たちの多くが気になっているのが年齢制限の引き上げの件だと思います。この件に関しましてはオーストラリア単独では決めることができず、協定国との協議のうえで決定される見通しです。

移民局のウェブサイトには以下のようにコメントが出ております。

Age of eligibility – Government announcement

The Government is considering options for expanding the upper age of eligibility from 30 to 35 years, including timeframes, legislative requirements and engagement with partner countries. Reciprocity of arrangements for Australian citizens remains a key feature of the programme. The current age of eligibility (18 to 30) will remain in place for the time being.

つまり、年齢制限に関しては現在検討段階で、変更が確定しているわけではありません。一部のサイトでは、2017年1月1日からだとか、7月からだとか言われているようですが、残念ながら現在のところはまだ時期については言及できる段階ではなさそうです。ただし、少なくともオーストラリア政府は前向きに検討しているようですので、これに関しては気長に待つしかないようです。

さらなるニュースが入りましたらまたお知らせしていきたいと思います。

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